地球温暖化対策基本法案に対しては、産業界や労働団体から十分な審議を求める声が相次いでいた。「2020年の温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する」という法案の柱の目標が、経済活動に深刻な打撃を与える恐れがあるためだ。だが、鳩山由紀夫首相がこうした懸念を“産業界寄り”の意見と断じているフシもあり、政府・与党は批判に応えていない。
法案では、25%の削減目標の前提条件として「すべての主要国が参加する国際的な枠組みの合意」を挙げている。この日の衆院環境委員会では、自民党の斎藤健氏が「前提条件が満たされない場合、目標はどうなるのか」と問うたが、政府側は「その時点で存在しないということになる」と述べるにとどめた。
政府は25%目標のうち、どれだけを企業や国民の努力で削減し、どれだけを他国からの排出枠購入で補うのかも示していない。
これでは、どんな制度や規制が導入されるのかも予想できず、企業の経営計画立案も困難になる。法案は施行後1年以内に、企業に二酸化炭素(CO2)排出量の上限を課す排出量取引制度の「成案を得る」としているが、25%目標の中身があいまいでは、制度設計もおぼつかないはずだ。
国民負担もあいまいなままだ。政府は有識者会議の議論をもとに昨年末、国内総生産(GDP)を3・1~5・6%押し下げるとしたが、環境省は今年、0・4%押し上げるという正反対の試算を公表。温暖化対策で新規産業育成などが促されるためだという。
これには有識者会議メンバーも「非現実的」と強く反発したが、首相は11日の答弁で「(批判しているのは)ある業界に近い方だとうかがっている」と環境省の肩を持った。法案が衆院を通過すれば、議論の舞台は参院に移るが、鳩山政権は今度こそ、疑問や批判に正面から向き合う必要がある。 (粂博之)
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